ガイドライン

経産省(JUAS)の「IT投資価値評価ガイドライン」(2007年)

  • 経産省(の委託を受けたJUAS)が「IT投資価値評価に関する調査研究」の結果を取り纏めて策定したIT投資価値評価のためのガイドライン。
  • 「経営におけるIT 投資マネジメント」、「プロジェクトにおけるIT投資価値の評価」、「まとめ」、「参考資料」の4部で構成され、IT投資価値の評価方法をユーザー企業の調査結果と対比する形で具体的に踏み込んで例示されている。
  • 「試行版」という位置付けながら、経営層~IT部門担当者が投資価値を評価する上での考慮事項がチェックリスト形式で纏められ、かつ企業IT動向調査」と紐付いたデータが公開されているため、実務に役立つ実践的なガイドラインとして多くの企業で活用されている。

  • ITGI(米国ITガバナンス協会)がCOBITを補完・拡張する位置付けで策定したIT投資管理のフレームワーク。2010年にITGI Japanが日本語版を公開している。
  • プロセスをVG(価値ガバナンス)、PM(ポートフォリオ管理)、IM(投資管理)の3つのドメイン(領域)に大別し、各ドメインの対応内容を、「インプット」、「アウトプット」、「アクティビティ」、「役割」、「達成目標」、「測定指標」を具体的に定義している。
  • 国内では、野村総合研究所(NRI)が積極的に推進しているが、普及実績は不明。フレームワークに準拠して各ドメインのアクティビティを推進するアプローチより、「ベストプラクティス」と位置付けた上で、現状把握&モニタリングのガイドラインとして、自社のプロセスをチェックするような割り切った使い方、アプローチの方が適していると想定。

  • JIPDEC(日本情報処理開発協会)が作成した「IT投資マネジメントの調査指針に関する調査報告書」の抜粋文書という位置付けながら、IT投資マネジメントの推進における参考書として活用が可能。
  • 「ガイダンス編」、「理論編」、「実践編」、「手法編」、「リファレンス編」の5部で構成されており、ガイドラインそのものの使い方(読み方)から、具体的なプロセス、進め方、評価方法、参考指標に至るまでIT投資マネジメントの実践に必要な情報を多面的ににまとめている。
  • 情報量が多く、また細部まで固めるアプローチのため、全ての企業で汎用的に使うには少し敷居が高いという印象もあるが、大企業を中心に多くの企業でIT投資マネジメントのガイドラインとして活用されている。


JUASの「システム・リファレンス・マニュアル(SRM)」(2004-2005年)

  • IPA(情報処理推進機構)がJUASに委託して、「ユーザー企業のIT戦略策定のリファレンス」という位置付けで作成されたガイドライン。
  • 経営戦略とITのあり方から、開発・保守・運用管理のノウハウに至るまで、ユーザー視点で非常に広範な範囲の内容を定義しており、第1巻の「第2章 戦略・企画」(P.106~174)でIT投資マネジメントを定義。
  • トレンド等の内容は古いが、記載内容の多くは現在でも十分活用できるため、実際に様々な資料で引用される等、現在でも実践的に活用されている。

  • GAO(the U.S. Government Accountability Office:米国会計検査院)が提唱したIT投資のプロセス管理手法。
  • 企業/組織のIT投資の管理における成熟度を5つのステージに分類し、ステージ毎に満たすべき基準を設定することで、IT投資プロセスの管理状態を評価・分析する。
  • IT投資マネジメントの1stステップとして、企業/組織におけるIT投資マネジメントの成熟度の分析する際に多く活用されている。