2014年11月30日日曜日

データ視点のIT資産価値評価の検討(その2)

河田です。
9月に「データ視点のIT資産価値評価の検討」というエントリを書きましたが、その内容をブラッシュアップする形で10月の経営情報学会で発表しましたので、今回はその話を少し。

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経営情報学会の2014年秋季全国研究発表大会のプログラムは、コチラ。
http://www.jasmin.jp/activity/zenkoku_taikai/2014_fall/program/index.html

経営情報学会ではIT資産価値研究部会として、「IT資産価値評価に対する視点と可能性」をテーマに、5人のリレー形式で発表しました。

具体的には、評価の多様性に富むIT資産に対し、「IFRS」、「収益構造」、「アーキテクチャー」、「データ」、「顧客経験価値」の各視点で捉えて、資産価値評価の可能性を紹介しています。

この中で私は4番目のテーマである「データ視点のIT資産価値評価」について、話をさせて頂きました。



発表の前提となる「検討の背景」は・・・
  • 企業活動に関わるデータの増加、重要性の高まりに比して、企業が取り扱うデータ、企業情報システムにおけるデータの資産性、価値評価の検討は十分になされているとは言えない。
  • IT技術のコモディティ化の流れと同様に、分析方法についても既にコモディティ化の兆しは見られており、多くの企業がデータそれ自体の価値について、改めて向き合うべき状況となっている。
  • 本研究では、企業情報システムが扱うデータに着目して、IT資産としての価値の変化について仮説の提示を行う。

そして、この研究発表を通して、私が伝えたかったメッセージは・・・
  1. データの重要性、環境変化(データの増大、技術の進化)、データ分析による効果を考えれば、データをITリソースの一つとして資産価値の評価を検討することは重要。
  2. データの価値評価はデータ単体ではなく分析(目的、用途)とセットで、その評価対象は企業情報システムが扱うデータに絞って、企業独自の基準で考えるべき。
  3. 従来は分析対象として扱われてこなかったログデータは「見えなかったものを見える化する(できなかったことできるようにする)」、「将来の行動の最適化を実現する」ためのデータとして、活用用途に広がりを見せている。
  4. 企業のIT資産としてデータを位置付けた場合、価値評価の対象とすべきは、従来のトランザクションデータからログデータへと変化の兆しがある。
    - トランザクションデータ:従来の価値(弱点の補完)
    - ログデータ:新たな価値(競争優位/生産性向上)の源泉となる可能性
精緻な研究の結果として・・・とは言えませんし、まだまだ足りないところも多くありますが、研究会メンバーの様々なアドバイスのお蔭で、拙いながらも話が飛躍することなく主張に繋げられたのでは?と思っています。

日々の仕事に追われてしまうと、研究活動が億劫になってしまうこと、疎かになってしまうことも少なくないですが、学会の研究発表を通して他の研究者の方から一定の評価を受けられると、やはり嬉しいですね。(今回はホッとしたという気持ちの方が強かったですが)

ちなみに、他4人の研究発表内容は、事前に話を知っていた自分でさえ、改めて興味深い研究内容だと感じました。
下記の概要を見て興味を持った方は、是非「IT資産価値研究会」へ遊びに来てください。
https://www.bunken.org/jasmin/conf2014_fall_program/download.php?sid=PR0040

最後に、、、当日会場まで足を運んで頂いた皆さん、質問頂いた皆さん、ありがとうございました。
また、研究活動を通して、支援して下さった研究会の皆さん、本当にありがとうございました!

このBlogのメインテーマである「IT投資管理、IT投資マネジメント」からスコープが少し外れていますが・・・この研究の次なる成果は、今後のお楽しみということで。