2014年4月29日火曜日

「ITプロジェクトの信頼構築に向けたプロジェクトリスクマネジメント」を聴講して

中嶋です。
もう4月も終わりですね。花粉症も和らいできて、すごしやすい季節になってきました。

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今回は機会あって、ISACA月例会セミナー「ITプロジェクトの信頼構築に向けたプロジェクトリスクマネジメント」に出席しましたので、そちらについて触れたいと思います。

タイトルだけ見ると「プロジェクトマネジメント」についての話に見えましたが、
実際には「ポートフォリオマネジメント」「プログラムマネジメント」の視点で説明されていました。
方法論というよりも人間的な視点で話をされていたのが興味深かったです。
以下は自身が感じた視点で書いているため、実際の内容とは異なるところもあるかもしれませんが、ご了承下さい。

プロジェクトにおける問題
 1. プログラムとして最適な判断が難しい
 プロジェクト参加メンバーは自身が参画しているプロジェクト以外に興味が無い。
 そのため所々の判断も自身のプロジェクトにとって最も良い選択肢を選びがち。
 プロジェクトだけで見れば最適な判断だったとしても、プログラムとして正しいとは限らず、
 かつその判断が誤っていたことが後になってから気づく。(手戻りが発生する)

 2. ITベンダーは意外とユーザー視点で物事を考えていない(ことが多い)
 これは意外でしたが、振り返ってみるとそうだったなあと感じた内容。
 特に後半フェーズになればなるほど顕著だそうです。
 それは「運用でカバーしていただいて…」なんて言葉を良く聞きますね。
 しぶしぶ了承したものの、実際にやってみるとかなりのコスト増となり、
 運用・保守フェーズで再度改善対応を行うといったこともよくある話です。
 発表者の方もおっしゃっていましたが、そうなってしまうのも当たり前の話で、
 ITベンダーとユーザーの利害関係が一致することは無いから起きてしまうそうです。
 お互い自分たちが良ければそれで良いとなってしまいがち、特に後半フェーズになると、
 疲弊しきっていることが多いため、余計に利害関係が一致しなくなってしまうそうです。

 3. 本当に検討すべき重要な課題が挙がってこない
 実際にアンケートを取って分かった話だそうですが、
 プロジェクトメンバーは課題を共有するメリットを感じられないんだそうです。
 理由として一番大きいのは、
  「課題を挙げても結局は自分で解決するしかない」
 ことが多いことだそうです。
 課題を挙げるにも資料を作ったり、関係各所に説明したりとかなりのコストがかかります。
 にも関わらず、自己解決するしかないのであれば確かに作る時間が無駄ですね。

上記問題を解決するため、第三者機関としてPMOが設置されることが多いのですが、
上記を払拭出来るPMOもまだまだ少ないのが現状。
それもそのはずで、マネジメントスキルは座学で学べるような簡単なモノではなく、
実際に経験しないと身に付かないスキルのため、昔より短納期かつ複雑に絡み合ったプロジェクトを経験したPMOがそもそも少ないためです。
PMPホルダー=より高度なプロジェクトを捌けるという指標でも無いので、誰にお願いすればよいかも分かりませんよね。当たり外れが大きいということです。

とはいうもののPMOが不要ということにはならないと思うので、
個人的にはプロジェクトでPMOに育ってもらう(PMOを育てる)という考えを持って、
プロジェクトを運営していくのが良いと個人的には思います。

私も以前のプロジェクトでお客様に育ててもらい、色んな経験を積ませていただきました。
お金をいただきながら勉強させてもらうというのは申し訳ない気分にもなりましたが、
その分結果を出さねばという想いも強くなり、結果的にお互いにとって良い関係を築け、
かつプロジェクトも成功出来たように思います。(あくまで個人の中での成功ですが)

そういった意味では参画してもらうPMOに必要なスキルは、
「成長意欲がある義理人情に厚い人」が良いのでは?と思った今日この頃でした。
もちろん「マネジメントスキル」「テクニカルスキル」も必要ですけどね。