2013年11月30日土曜日

「ITマネジメントの新機軸」(向正道著)を読んで

河田です。
気がつけば、今日で11月も終わり。月日が過ぎるのは本当に早いですね。

研究会でお世話になっている先輩コンサルタントの方から、先日発売されたばかりの
素敵な本を頂きましたので、今回はその本をご紹介します。

経営・事業・ITの三者で進めるITマネジメントの新機軸経営・事業・ITの三者で進めるITマネジメントの新機軸
向 正道 新日鉄住金ソリューションズ

日経BP社 2013-10-17
売り上げランキング : 13064

Amazonで詳しく見る by G-Tools

この本は、ITコンサルタントという実務家の一面だけではなく、
資源ベース論の研究者としての一面も併せ持つ著者が、
「システム化計画(IT計画)」を中心にITマネジメントのあり方を書かれた本であり、
実務的なテーマを学術的な視点も組み込んでまとめ上げているという点で
非常に貴重な本ではないかと思います。

一般論として、実務家が経験に基づく話を語る場合は、ケースバイケースの偏った
内容になってしまうことも少なくなく、
一方で、研究者の方は時として実務を無視した机上論になっている場合もあるの
ではないかと思いますが、この本はその両面を上手くバランスを取って、セオリーに
基づきながらも地に足のついた話が展開されている本だと感じます。

本の帯に「CIO、情報システム部員必見!」と書かれているのも頷けますね。

発売されたばかりの本なので、具体的な内容は本書を見て欲しいと思いますが、
目次だけご紹介しておくと・・・
第1章 企業における情報システムとその役割
第2章 システム化計画の概要
第3章 経営者視点からのITマネジメント(経営戦略とITの融合)
第4章 事業部門視点からのITマネジメント(ビジネスプロセスと情報)
第5章 情報システム部門視点からのITマネジメント(サービスレベルとコストの最適化)
第6章 IT施策の統合(優先施策と中期ロードマップの作成)
第7章 情報システム部門の組織運営(施策の推進に臨み)
という構成になっています。
各章の終わりには要約があり、頭を整理しながら読み進めることもできます。

IT投資マネジメント、IT投資管理に関して考察するアプローチではないのですが、
システム化計画を通して「IT投資はどのように企業業績を向上させるのか?」
というIT投資のあり方の本質に迫っています。

著者自身が冒頭に書いている通り、所謂ノウハウ本では無いので、目新しさを求める
方にはFITしないかもしれませんが、この分野の仕事に関わる多くの方にとって、
ITマネジメントの全体像が網羅的・体系的にまとめられている点で、非常に示唆に富む
本だと思います。(何度も読み返す価値があります)

私自身、戦略論の経験はまだまだですが・・・あとがきに書かれているシステム化計画が
次の活動につながらないケース(3つの考慮点)は、同じコンサルタントとしてとても共感
できました。
1.報告書の全体感
2.施策の具体性
3.推進責任者が不明確
このキーワードに心当たりのある方は、是非この本を手にとって見て下さい。
日々の多忙な業務の中で、この本を纏めあげた向さん、ホント凄いです。

最後に・・・著者の向さん他、複数企業のコンサルタントの方々、研究者の方々と一緒に、
今年の5月から「IT資産価値研究会」にて研究を深めています。


具体論はこれからですが、
先月の経営情報学会(2013年秋季全国研究発表大会)で
IT資産の価値評価に関するフレームワークの構築
というテーマで共同研究発表もしています。

該当テーマの研究に興味のある方はご一報ください。


0 コメント:

コメントを投稿