2012年8月31日金曜日

BABOKとIT投資マネジメントの関連性

藤原です。
3回目の投稿になりますが、隔月とはいえ、
テーマを意識したネタ探しや作文というのは、なかなか大変ですね。

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少し前に、BABOK(Business Analysis Body Of Knowledge)の研修に参加しました。
研修や自身での勉強を通じてBABOKを読み解く中で、IT投資マネジメント活動との関連性を感じる部分があったので、今回はその話をしたいと思います。

BABOK、BAとは?

BABOKとは、ビジネスアナリシス(BA)を行う為に必要なタスクやテクニックをまとめた知識体系であり、BA活動に関する共通のフレームワークです。
カナダのIIBA(International Institute of Business Analysis)という団体が2005年に初版を発行し、現在2.0版が最新となっています。

ビジネスアナリシス(BA)は以下のように定義されています。

ビジネスアナリシスとは、組織の構造とポリシーおよび業務運用について理解を深め、組織の目的達成に役立つソリューションを推進するために、ステークホルダー間の橋渡しとなるタスクとテクニックをまとめたものである。

また、BA活動を7つの知識エリアとして定義しています。
各知識エリアには、それぞれ関連する複数のタスクが含まれています。

  • 計画と監視
  • 引き出し
  • 要求マネジメントとコミュニケーション
  • 企業分析(EA)
  • 要求分析(RA)
  • ソリューションの評価と妥当性確認(SAV)
  • 基礎コンピテンシー

それぞれの知識エリアに関する詳細説明は、今回は省略させていただきますが、各種情報サイトの多くの記事で紹介されておりますので、そちらを参照ください。

また、BABOK自体も、IIBA日本支部のHPから購入することが可能です。
http://store.iiba-japan.org/

BABOKに記述される各知識エリア・タスク全体を通して、
BA活動のポイントを概略すると、以下となります。

  • 組織、業務を理解し、組織のビジネス上のゴールや目的を明確化する
  • ステークホルダーが目的の達成に必要とする機能や能力を要求として引き出し、構造化し、文書化する
  • 要求を分析し、目的達成との整合性を確認する
  • 実装担当(プロジェクト)に要求を正しく伝達し、提案されたソリューションの妥当性を確認する
  • 導入されたソリューションのパフォーマンスを評価する


BAタスクとIT投資マネジメントとの関連性は?

BA活動について、IT投資マネジメントの活動の関連性としては、

  • 組織の目的、その達成に必要な「要求」に関して、評価・判断するための指標を定義することを重要としている点
  • 組織の目的を達成するための「要求」に優先順位を付け、妥当性を確認するタスクを有している点
  • ソリューション導入後に、要求を満足する効果を果たしているか評価し、次の分析活動へ繋げるタスクを有している点

が挙げられると思います。

BABOKでは、ビジネス上のゴール、目的は「SMARTであるべき」としています。

 S:Specific(具体的)
 M:Measurable(測定可能)
 A:Achievable(現実的)
 R:Relevant(目的と関連している)
 T:Time-bounded(締切りがある)

また、優先順位付けられた「要求」(そして、その要求を満足するソリューションに対して投資すること)が妥当かを判断するための指標についても例示しています。

  • 前提条件の識別
  • 評価基準の設定(KPI)
  • ビジネス価値の確認
  • 要求トレーサビリティの確認
  • ビジネスケースとの整合性
  • 機会コスト

以下のタスクに関しては、「測定可能な評価基準の定義が必要」としています。

 「5.5 ビジネスケースの定義」
 「6.6 要求の妥当性確認」
 「7.6 ソリューションのパフォーマンス評価」

BAタスクに記述されている、投資する要求、ソリューションに対する妥当性確認や、導入したソリューションに対して、定量的・定性的な評価を行い、その効果を判断すると共に、次の取組みへと繋ぐ活動は、IT投資マネジメントにおいても共通であると思います。


私自身、BABOKについてまだまだ勉強不足で、解釈の間違い等があるかもしれません。
今後、読み解きを続ける中で、また新たな気づきがあれば、ご紹介したいと思います。