2011年8月4日木曜日

IT投資の波、IT部門の工場化について・・・

今回は、最近見たZDNetの記事の中に、IT投資マネジメントを考える上で非常に興味深い話があったので、その話を少しご紹介したいと思います。


まず、「日本に残る巨大戦艦志向」というサブタイトルで、国内企業のIT投資案件規模の話が触れられていますが・・・下記の指摘はとても興味深い指摘と思いませんか?
  • IT投資の波(大規模投資とその償却サイクル)を考えている企業がある
    →「経営を説得できる理由がない」と悩んでいるが、前時代的発想でナンセンス 
  • 国内企業の開発案件の投資規模は、世界の中でも群を抜いて大きい
    経営視点でのキャッシュの平準化が図れない上、コントロールリスクも高い


次に、「費用対効果を測りにくい大規模案件」というサブタイトルで、大規模案件の投資管理の3つの問題点が挙げられていますが、これも納得です。

  • 「投資対効果を説明し難い」(定性的な話を絡めないと正当化ができない)
  • 「規模の不経済が発生する」(案件規模が拡大すると、生産性が低くなる)
  • 「失敗の確率が高まる」(ステークホルダーも複雑化し、失敗要因が増える)


案件規模を小さくすればそれだけでイイと単純に言うつもりはありませんが、案件規模とリスクのの関係は「比例」どころか、「指数関数的」なんじゃないか?と感じることがあります。

#私の知る限り・・・「戦艦大和」PJでは、船長でさえ過去に「大和」を作ったことが無い場合も少なくない上、クルーの一人一人も全体像が見えてない中で進みますから、計画通りに目的に到達する確率は高くは無く、、、それどころか、一歩間違うとデスマーチがやってくるような気がします。
#大規模PJのマネジメントに関わっているヒトは、同じような思いをされたこともあるのでは?(^^;

キャッシュ負担の波が経営に与える影響も同様で、普通に考えたら投資に波があることでデメリットはあっても、メリットって何も無いですよね。

記事の中の例示のように、個別案件を同等規模に細分化することに優位性は感じませんが、案件規模をある程度平準化することによって得られるメリットは大きいですよね。ITIM的に言えば、ポートフォリオとして管理しやすいですし(^^)v



こちらはSOAに関する記事ですが、上記と同じ方が書いており、鋭い指摘だなーと思います。私が特に共感した点を引用&要約してご紹介すると・・・

  • 新しい取り組みをする場合、「プロジェクトをどういう体制で進めるか」は非常によく考えられることが当然となってきたが、「組織が時代に適しているか?」「IT投資の在り方は時代に適しているか?」という視点で課題設定をしている企業にはあまりお目にかからない。
  • SOAの技術は「呼び出す方は呼び出される方を気にしない」方向に進化しており、それがService化の方向性である。そういう意味では、組織全体もユーザーに細かいことを気にさせない方向にシフトするのは、ある意味当然である。
  • IT部門は単に技術がよりService化を求めるからService部門化するのではなく、ITが提供するサービスが一層Service化する方向になるから、Service部門化しなければならない。

詳しい内容はリンクから記事を参照して頂きたいと思いますが、この記事の著者が指摘している通り、目の前の問題点の解決策ばかりに重点が置かれすぎて、そもそも・・・の部分の議論が十分では無いケースは多いと感じます。

IT投資マネジメント分野に絞って言えば、「その投資が妥当か否か?」には注力が置かれますが、「そもそも投資判断の方法は従来と同じで良いのか?」の検討が欠けているというか、前提条件化されてしまっている企業が多いと感じます。
→正しく言えば、実務上の担当者はその前提条件化された問題を認識しているものの、担当者のパワーではその前提条件を変えられずに悩んでいるケースもありますね。

また、サービス化の流れとService部門化の流れは、表現としては分かり難いのですが、こちらも「納得」です。

このエントリを見て興味を持ったヒトは、是非リンクから記事を参照してみて下さい。はてなB登録もあまりされてないようでしたが、とても気付きの多い記事だと思います。

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