BSCは、IT投資マネジメントの合意形成で採用されていることも多いので、フレームワークを知識として理解している人は多いと思いますが、一方で実践的に活用できる人・・・というのは、少ないのでは?と思います。
偉そうに?書いている私も、ある程度理解しているつもりでセミナーに参加したものの、「なるほど」と感じるところも多かったので(^^;
毎度のことながら前置きが長くなりましたが、今回は考察ではなく備忘録的なメモなので、間違ってたら・・・遠慮なくコメント下さい!!!
【バランス・スコアカードとは?】(吉川教授の講演より)
- 経営ビジョンと戦略を具体的な行動に落としこむための経営戦略立案・実行評価のフレームワーク、1992年にキャプラン&ノートンがハーバードビジネスレビューで発表
- 戦略・ビジョンを4つの視点(財務の視点・顧客の視点・業務プロセスの視点・学習と成長の視点)で分類し、各指標間の因果関係を明示することで企業全体の行動のベクトル合わせを図る
【バランス・スコアカードが誕生した時代背景、位置付け】
- 1970年~1980年代の米国は、経営戦略の立案→(財務的な)マネジメントコントロールのみで、企業の競争力が無くなっていた
→従来の財務的指標中心の業績管理手法の欠点(短期的な結果ばかりを狙いすぎて企業競争力が損なわれていたこと)を補う目的で考案された
- バランス・スコアカードは飛行機(企業経営)のコックピットのようなもの、従来の管理手法では分断されがちだったビジョンと戦略をリンクさせる(繋ぐ)もの
→従来の各種の経営管理手法やプロジェクトと対立する新たな管理手法ではなく、従来の管理手法を動力として、それをナビゲーションするもの
【戦略ベクトル合わせ、BSCのカスケード】(スティーブ博士の講演より)
- BSCの一番のメリットは、企業全体の活動のベクトル合わせができること
- 全社(Tier1)⇒部門(Tier2)⇒個人(Tier3)へのカスケード(落し込み)が必須
【BSC活用時の注意事項】
- 顧客の視点は、企業によってはステークホルダー全体となる場合がある
- 学習と成長の視点は、組織能力で定義する場合もある
- 一般に因果関係は、①学習と成長→②内部プロセス→③顧客→④財務となるが、非営利企業やTier2の間接部門の場合は③と④が逆転する場合がある
→財務が目的ではなく、財務を通して顧客に貢献することが目的となるため - 戦略テーマの設定に際しては、必ず結果も含めるべき
→結果状態を含めないとスローガンに終わる危険があるため
【戦略マップの注意事項】
- 戦略マップはストーリー(物語)であるべき
→顧客視点のKPIの設定が一番難しいが、仮説が必要 - CSF(重要成功要因:目的)は、改善、上昇、削減、減少、強化など(継続的な)状態を表現すること
→手段(Action)をCSFに使わないこと
【カスケードの注意事項】
- 全社(Tier1)⇒部門(Tier2)⇒個人(Tier3)へのカスケードに際して、戦略テーマを変えてはいけない
→ベクトル合わせにならない&取り組みが混乱するだけ
→但し、カスケード時に戦略テーマは具体化する&KPIは同じである必要はない - カスケードに際しては、全てにCSFが入る訳ではない(個人レベルで財務の視点は必要なし)
- カスケードに際しては、視点のレイヤは同じであること
私もITコンサルタントという職業柄?、実際に業務で簡単な戦略マップを書いたり、Tier2(部門レベル)のIT-BSCを作成したことはあったのですが、独学レベルの活用でちゃんと勉強したことがなかったので。。。今回は非常に得るものが多かった気がします(^^)
BSCの国内第一人者である吉川教授(横国大名誉教授)も、スティーブン博士(プロミスポイント社代表)も、非常にフランクでステキな方々でしたし。
多くの気付きを与えてくれた、吉川教授、スティーブン博士、そして機会を提供してくれたプロミスポイント社に感謝です。
最後に・・・様々なフレームワークを活用する上では、上辺の知識だけでなく本質的な理解が必要だなーということを今回のセミナーで改めて考えさせられました。
先週はJUASのIFRSセミナーにも参加したので、その話はまた今度にでも???(^^;
先週はJUASのIFRSセミナーにも参加したので、その話はまた今度にでも???(^^;