2010年12月2日木曜日

リスクに注意?

先日、コンサル出身で事業会社に勤めている先輩との意見交換の中で、「リスクの捉え方」が話題に上がり、「言葉の定義をしっかりしなきゃなー」と感じたので、その話を少し。。。


まず、「リスク」とは?をきちんと解説すると長くなる(そもそも、解説できる程、私が詳しくない)ので、汎用性のある表現を使うと、下記の捉え方に大別できるのではないかと思います。
  • リスクとは・・・損失の可能性
  • リスクとは・・・不確実性(損失あるいは利得の可能性)
金融分野では前者を「純粋リスク」、後者を「投機的リスク」として扱いますね。 


次に、リスクの使われ方を調べてみると、「ウィキペディアのリスクの説明」が分かりやすかったので、一部を抜粋すると・・・
  • 経済学上のリスク :ある事象の変動に関する不確実性
  • 工学上のリスク  :ある事象生起の確からしさと、それによる負の結果の組合せ
  • システム上のリスク:損失の可能性・・・不確実性ではなく、確実な危険性


前置きが長くなりましたが、IT分野では当然のことながら「システム上のリスク」を中心に話をしていることが多い(=投機的リスクは無く、純粋リスクである)ため、「リスク管理=損失を最小限に抑えるアプローチ(ネガティブメッセージ)」が頭に刷り込まれているケースが多いのでは無いかと思います。
#PMBOKでもリスク管理の方法は、「軽減」「回避」「転嫁」「受容」の4パターンですしね(^^;

逆に、経済学上では、「リスク=投機的リスク」が前提であり、株式投資のように「リスク管理=マネジメントによって利得を最大化するというアプローチ(ポジティブメッセージ)」が普通ですよね。


私も一応?経営学部を卒業しているので、、、純粋リスク/投機的リスクの概念は知っていたのですが、ITIMの評価指標として「リスク」の話をする際に、何の前提も無く「純粋リスク」の話をしてしまってました。。。orz

先輩から「リスクって、どう定義して話をしてるの?」という言葉を聞いて、ハッとさせられました。
ITポートフォリオを考える場合、純粋リスクが前提となりがちなIT分野で、投機リスクに絡む経済性の話をする訳ですから、言葉の定義は重要ですね。
#ポートフォリオの概念も金融分野から来てますし。。。(^^;

つまり、評価指標として「リスク」を使う場合、言葉の定義を明確にしておかないと・・・
「IT投資案件の性質を考慮し意図的に分散させ、リスクを積極的に取る(利益の最大化を狙う)ためのポートフォリオ」、
「リスクを極力抑える形でIT投資案件を選別するためのポートフォリオ」
が、対話相手の前提認識次第では、矛盾 or 意味不明に聞こえてしまいますね(^^;

「言葉は正しく使ってナンボ」ということを改めて考えさせられました。

最後に・・・リスク(risk)の語源は、イタリア語で「勇気をもって試みる」ことを意味する(risicare)から来ているそうです。

語源に従う形で定義するなら、、、「リスクは積極的に取る」ことが重要ですね(^^)



2 コメント:

鎌田 浩一郎 さんのコメント...

経営学部のご出身だったんですね!
私は経済学部の学生時代に金融の勉強でずいぶん泣かされました。
学生時代に金融の文脈でリスクという言葉を叩き込まれていたので、コンサル会社時代は最初は違和感がありました。

このエントリーでずいぶんスッキリ整理が出来ました。

Unknown さんのコメント...

コメントありがとう。
意外なところにも接点があったんだね。実装に強いから、ちょっと驚いたけど、君はマルチな才能を持っているワケやね(^^)

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