経産省・・・と言っても、実際のガイドラインは、JUAS(日本情報システム・ユーザー協会)が作成しているので、「JUASのガイドライン」と言う方が妥当なのかもしれませんが(^^;
このガイドラインは、「IT投資価値評価に関する調査研究」の結果をガイドラインとして纏められたもので、IT投資マネジメントの一連のプロセスの中で特に「ITの投資価値をどのように評価するか?」という点にフォーカスした内容となっています。
ガイドラインは4部で構成されており、内容を簡単に説明すると・・・
- 経営におけるIT 投資マネジメント
→簡易チェックリストを中心とした「経営におけるIT 投資マネジメントの有り方」の説明 - プロジェクトにおけるIT 投資価値の評価
→IT投資の現状との対比から、チェックリスト形式で事前(企画・実行)/事後の評価ポイントの説明と、各フェーズにおけるIT投資価値の測定方法/評価手法を具体的に解説 - .まとめ
→IT投資評価の難しさと対策、及びIT投資評価推進の注意事項の説明 - 参考資料
→IT 部門長インタビュー、CIO 座談会の結果とユーザー満足度調査の方法等
という感じになると思います。
ガイドラインを通してポイントとなる点をいくつか挙げるとすると、
まず1章に記載されているIT投資に関する下記の問題提起(ガイドラインから引用)は、多くのIT部門関係者にとって耳が痛い話かもしれません。。。orz
まず1章に記載されているIT投資に関する下記の問題提起(ガイドラインから引用)は、多くのIT部門関係者にとって耳が痛い話かもしれません。。。orz
企業において、ある目的を持って投資を行えば、その成果は当然問われるはずであるが、IT 投資についての評価は必ずしも実施されているとはいえない状況である。
「予算令達の承認は上がってくるが、進捗の報告も少ないし、結果の報告はほとんど上がってこない。IT 部門とは不思議な部門だ」
と思っている経営者は多い。また投資案件が起案されてきても、経営者は、その案をどのように考え、判断すれば良いのか悩むことになる。
この状況を打破するためには、、、やはり、このガイドラインが目指すところであるはずの「経営層(≠ITの専門家)にも適切に理解されるIT投資マネジメントの仕組み」が重要ですね(^^)
次に、3章のまとめに記載されているIT投資評価の6つの難しさと対策を引用すると、
- 費用対効果が見えにくい案件が多い
→ROI だけでなくKPI、ユーザー満足度、他社比較、投資しないリスク分析など複数の方法で判定する - 複合要因による効果の対応が一意的でない
→最終的には営業利益で判定する - 省力化が実現してもその判定が難しい
→省時間を何に使うのかをあらかじめ決めてその効果を把握する、省力化案件は人事部を入れて確認する - インフラ整備は効果が短期的に計算し難い
→レスポンスタイム、費用、稼働率、スパンメール排除数、ユーザー満足度などKPI を設定し確認する - 効果把握のできる人材がいない
→IT 部門だけでなく、経営企画、システム監査、経理などの専門家を効果把握支援者に任命する - 効果を判定するタイミングのとり方が難しい
→稼動後半年、あるいは1 年後などとあらかじめ決めておく。最終結果でなくてもよい。
この内容を見ると、非常に納得感がある一方で、「分かっているれど、実際にそれを推進することが難しいんだ!」というIT部門関係者の悲痛な声も聞こえてきそうな気がします。
ITIMに関わる実務者としても、上記に対しては「教科書的な答えだけでなく、様々な代替案を併用して解決していく」ことを念頭に置いて取り組みたいと思っています。。。
なお、このガイドラインは、JUASが毎年実施している「企業IT動向調査」との関連が非常に深く、実際のユーザー企業の調査結果に基づくため、他のガイドラインと比べても非常に実践的な内容となっていると言えます。
ガイドラインに記載されている調査結果は2007年度のデータですが、2008年度以降も「企業IT動向調査」の調査結果は参照できるので、その点も有用ですね。
- 企業IT動向調査(JUAS)
多くの企業で、「試行版」という名の付くガイドラインを採用することには、躊躇するケースもあるはずですし、試行版策定から3年以上が経過しているので、そろそろ。。。と思うのは私だけではないはず???
どなたか、今後の制定化の動きをご存じの方がいらっしゃれば、是非教えて下さいm(_ _)m
最後に、今回は意図的に?最も実践的な2章のポイント説明を省略しました。
最後に、今回は意図的に?最も実践的な2章のポイント説明を省略しました。
理由は・・・長くなるから(^^;
非常に参考になる数値データもあるので、別途続編を書きたいと思っていますので、ご容赦下さいー。